教員紹介2021.09.6

【教員紹介】栄養学部フードデザイン学科 准教授 松岡 大介先生を紹介します

栄養学部フードデザイン学科 食品学分野 担当

准教授 松岡 大介

私は、昨年の4月に甲子園大学に来ました。それまでは、他大学の農学系の分野で、教育・研究活動をしていました。こちらに来て1年半ほど経ち少しずつこちらでの教育にもなれ、研究も少しずつできるようになってきました。HPで自分の研究を紹介する機会をいただきましたので、これまでどんな研究をしてきたのか?また、現在どんな研究をしているのかを簡単に紹介させていただこうと思います。

 まず、これまでの研究について紹介します。多くの植物は、発芽して、根を生やし、葉をつけ、また花を咲かせ、実ができ、種ができます。またその種が地面に落ちると発芽してと成長します。このようなサイクルを植物は繰り返しているのですが、それぞれの植物は、環境の変化に合わせて、発芽する時期や花を咲かせる時期を決めています。では、どうやって環境の変化を感知したり、それに合わせて体の形を変化させているのでしょうか?また、自然環境中に生育する植物は、一旦根を生やすと移動することができないため、様々な環境の変化(光や温度、昆虫に食べられたり、病原菌やウィルスも感染します)に抵抗する仕組みも持っています。私はその中でも特に、植物がどうやって環境の変化を感じ取っているのか、またその変化をどのように伝えているのか(そのような仕組みを細胞内情報伝達と呼んでいます)に注目して、細胞内情報伝達に関係する酵素(特にタンパク質をリン酸化する酵素)について研究をしていました。例えば、植物の光屈性(光の方に成長する性質)の光受容に関係するタンパク質の活性制御の仕組み(Matsuoka & Tokutomi PNAS 2005)や植物の乾燥や低温に対する応答に関係するタンパク質リン酸化酵素の役割(Matsuoka et al. Plant Mol. Biol. 2015)などを明らかにしています。このような研究は、基礎的な研究ではありますが、これらの酵素の働きを遺伝子組換えの手法により改変した植物は、ストレス耐性を持ったり成長を早めたりすることができ(Matsuoka et al. Plant Biotech. 2018)、今後の品種改良などにも応用されることが期待されています。最近では、前に所属していた大学との共同研究ですが、イネのデンプン量を調節する仕組みに関する論文も発表しています。(詳しくはこちらのサイトを見てください。https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2021_05_17_02.html)。

 さて、これまでの研究の話が長くなりましたが、こちらの大学での研究について紹介します。これまでの少し基礎的な研究についても、研究室に所属する大学院生と一緒にイチゴを材料に低温応答に関係する新規なタンパク質の機能に関する研究をしています。また現在の所属は、食品開発などを目指すフードデザイン学科ですので、これまでに習得した農学的な研究手法を活かし、イチゴ、様々なマメ科植物(インゲン豆、小豆、落花生、黒枝豆など)やハーブなどを大学構内で育て、例えばイチゴを使ったグミの開発に挑戦したり、マメ科植物やハーブに含まれる機能性成分の研究などもフードデザイン学科に所属されている他の先生とも共同で進めています。これらの研究活動を通して、新しい商品の開発や6次産業化につなげて行きたいなと考えています。このような研究を一緒にしてみたい学生さんに来て欲しいなと常々思っています。大学で育てている作物の様子や収穫したものの写真を載せています。完全無農薬なので、虫が食べたりしますが、美味しいイチゴが収穫できました。