学長ブログ2023.09.11
人が懐かしさを感じる商品の企画
これは、前期の授業のテーマの一つであった。
巷の菓子屋や食品売り場には新商品があふれるが「これは懐かしい」と震えるほどのインパクトを持つものがあればきっとベストセラーになるに違いない。
そのようなものを各自の経験から探してみようというのがテーマの趣旨である。
「懐かしい」という感覚が購買意欲につながるとしたら、おいしさはもとより、その懐かしさがきっと「あの日の自分が愛おしい」と感じるものに違いない。
懐かしの商品探しとはつまり、かつての自分のおいしい感動を探すことなのである。
それが多くの人に共有できるものであればヒット商品になる。
伯父が田舎でお菓子屋を営んでいたので、小さい頃から菓子屋の店頭や、店の奥にあった菓子の倉庫で従弟とよく遊んだ。
楽しい時代であった。当時のお菓子はみな100匁(もんめ)いくらの量り売りだった。
ある日、「これは、きっとよく売れるぞ。」と 伯父が倉庫で薄い「おかき」をくれた。
関東では「あられ」というのかもしれない。
薄い塩味で表面にサラダ油が塗られている。これがなんともおいしい。もう、50年以上前だが、感動は忘れない。
最近、それに酷似したおかきを発見した。
名前にも聞き覚えがある。かつてのものと同じメーカーなのか知るよしもないが、味わいは似ている。
後年、おいしさの研究をするようになって、油とうま味の組み合わせが最強なのは理解できるが、50年以上前の記憶につながっているのに感動した次第である。