学長ブログ2023.08.28

食べない寒天

寒天を製造販売するメーカーの役員を務める方の訪問があった。
旧知の間柄で、会社の見学に寄せてもらったこともある。
出張で近くに来られたから寄ったという。

最近の寒天製品の開発現状を聞いて驚いた。
メーカーの友人が来るとすぐに食品開発の話になってしまうのだが、最近ではゼリーやお菓子ではなくて、「食べない寒天」が増えてきたという。
「食べなかったら何に使うのか?」と問うと、驚愕のアイデアの世界があった。

渡されたパンフレットに紹介されていた一つは、お弁当のおかずに粉の寒天をふりかけておくというもの。
この寒天をふりかけておくと、汁が出ても吸ってくれるので、弁当袋やカバンを汚さないというものであった。
吸水能力の応用である。
もう一つ感動したのは余ったカレーに寒天粉末を混ぜて溶かしておくというもの。
こうしておくと冷えても鍋にくっつかずに、ぷるんと剥がれるというのだ。
なるほどである。
ほかにも思わず「うむむ」とうなるような奇抜なアイデアがあった。

食品素材ながら、食べない使い方という発想が秀逸である。
これからの食品開発者はよほど頭が柔軟でなければならないと感心した次第である。