学長ブログ2023.07.31

美味しいから売れるのか、売れるものが美味しいのか ~感性評価センターの戦い~ 

世界中AI流行りである。
AIを使わないと時代にとりのこされるという恐怖は深刻である。
とくに食の世界は人間の心理と深く関わるので、情報の影響力は無視出来ない。
お店のランキング、商品ごとの売れ行きトップテン等、ビッグデータが使われる。
しかし私は考えた。

昔は、美味しいものを作れば売れると考えていた。
これに対して、現代のAIは、売れ行きがいいものこそが美味しいのだと考える。
美味しいから売れるのか、売れるものが、美味しいのか?

後者に立つと、すべての真理をデータサイエンスが教えてくれるという話になる。
理論や哲学はブラックボックスである。
特に美味しさのような科学的な根拠のある評価が難しいジャンルはAIの独壇場になりやすい。
みなが買うものを美味しいとする、米国のようにコンピューター解析が発展するとAIが神のように振る舞う。

甲子園大学は食をはじめとする様々な人間の感性を、最終的な売れ行きではなく、感覚ごとに数値化して評価することを目指す、感性評価研究センターを立ち上げた。
ここでは美味しいとはなにか、心地よいとはなにか、美しいとは何かを評価することを試みている。
商品の売れ行きに頼らないで、人間の感性はどうしたら数値化できるのか?
コンピューター対人間の戦いの最前線にたつセンターである。