学長ブログ2023.07.10
自己実現を支援する栄養学を
国民の栄養がまだ十分ではなかった時代に登場した栄養学は華々しい成果を上げた。
多くに人たちの命を救い、健康に寄与した。
栄養学は発展をつづけているが、皮肉なことに食が満ち足りた今日では若い男女はこぞって痩身を競っている。
彼らとて食べないことはつらいにちがいないが、「痩せている方がかっこいいにきまっている!」、「モテるし」etc・・・
生物的な生存競争に近い衝動が彼らの背中を押すように見える。
もっと深刻な人たちもいる。
体重がパフォーマンスに深刻な影響を与えるスポーツ種目の選手や、ファッション・モデルなどは自分の体格を制御するためには思うようには食べられない。
現代は食べることの目的が生命維持と直結しない時代である。
むしろ自己実現のための食生活が時には健康のための栄養学と相反する。
現代人が期待しているのは、個人の生き方を尊重しつつ、自己実現をできる限りサポートする優しい栄養・食糧学なのではないかと思う。