学長ブログ2023.07.3
日本料理に合うワイン開発と試飲会
先日、京都市内の老舗料亭での新作ワインの試飲会に招かれた。
日本料理に合うワインの発表会である。主催者は京料理木乃婦のご主人髙橋拓児氏。
龍谷大学大学院で研究指導したのがご縁で、今年度から甲子園大学食創造学科での授業の一部をゲストとして担当していただく。
髙橋さんはNHK今日の料理の常連でもあり、端正な容姿と軽妙なトークに女性ファンも多い。
龍谷大学大学院での髙橋さんの博士の学位審査では、立ち会った審査委員たちはその研究のスケールの大きさに息を飲んだ。
ワインメーカーの協力を得て、長野県にある広大なワイン畑の白ブドウの房に1つ1つ日光をさえぎるための袋を被せて栽培した。
収穫された3.5トンものブドウからは2600本の白ワインを醸造した。これを研究材料にして京料理との相性が調べられた。
総計100人以上のヒトを使った大規模な評価実験も行った。
ワインは日本料理と合わせにくい。ブドウの香りや酸味が強すぎて和食の風味の邪魔をする。
一方、玉露などのうま味の強い日本の伝統的なお茶は日光をさえぎった環境で栽培される。
ならば、ブドウの風味も光をさえぎればおとなしくなるはずという狙いである。
狙いは見事にあたった。光を当てないブドウで作ったワインは京料理との相性が抜群であった。
成分分析でも果実香気が減少し、大吟醸日本酒の香気成分となるエステル類が増していた。
まさに大吟醸ワインであった。