キャンパスライフ

甲子園人物列伝_02.オリンピック強化選手の栄養指導 海老久美子

甲子園人物列伝 「海老久美子」

  • 02
    オリンピック強化選手の栄養指導
    海老 久美子[Kumiko EBI]
  • 1962年生まれ
    神奈川県出身 人間文化学部卒業
    大妻女子大学家政学部食物学科卒
    2007年3月
    甲子園大学大学院栄養学研究科博士後期課程修了
    博士(栄養学)

オリンピック選手からプロ野球、高校野球、バスケットボール、ゴルフ、テニスまで幅広くアスリートの栄養サポートを担当。全日本アマチュア野球連盟医科学部会委員、JOC強化スタッフ、(財)日本体育協会主催資格講習会講師。現在、立命館大学スポーツ健康科学部教授。著書に「野球食」「野球食Jr.」(ベースボール・マガジン社)、「30代男のメシの食べ方」(学習研究社)など。(2007年4月取材)

栄養学を学ぶきっかけ

子供の頃になりたかったのは、小学校の先生。大学進学を考える時も、迷わず児童学を専攻しようと考えていました。でも、ある時、父に「管理栄養士もいいんじゃないか」と勧められたんです。父は自分で料理をする人で、その姿を見ていましたし、毎日の生活の中で「食」は「幸せな時間」とインプットされていたんですね。そういうこともあり、家政学部食物学科へ進学することにしました。食べることは幸せなこと、楽しいことというスタンスは、今も変わっていません。

スポーツ栄養士になるまで

書籍「野球食」「野球食Jr.」 食物学科を卒業後、最初に就職したのは大手家電メーカー。仕事内容は、電子レンジなどで調理のデモンストレーションをしたり、レシピを作成するアドバイザーでした。
調理をしながら手元を見ずに、沢山の人前で飽きさせないように話す。これは想像以上に大変でした。今、役に立っている、人前で話すスキルが身についたのはこのときでした。
仕事に慣れ始めた社会人3年目、「スポーツクラブで食事指導したら面白いかもしれない」と思いついちゃったんですね。当時はフィットネスブームの真っ最中。でも、ダイエットを食事コントロールと並行して行うことは浸透していませんでした。そこで食事指導の資料を作成しスポーツクラブに持っていったら、スタッフの方々もとても面白がってくれました。 でも前例がなかったので、まずは私自身がフィットネスの知識を身につけるため、インストラクター養成コースを受講。フィットネスへの興味も出てきて、家電メーカーを退職し、スポーツ選手向けスポーツクラブを運営する会社に転職しました。これを機に、専門である栄養学とフィットネスの知識を生かして、スポーツ選手の食事指導を行うようになったんです。 その会社で、野球、バスケットボール、ゴルフなど様々な競技のアスリートの食事サポートを経験してきましたが、一番多かったのが野球でした。中学生からプロ選手までを見る中で、痛感したのが中高生選手の食べ方の大切さ。この経験から、野球道具の一つとして使える食事本を作りたいという思いが生まれ、「野球食」「野球食Jr.」も生まれました。

40歳を前に甲子園大学に入学

「そこまで実践してきたのなら、今度それをきちんとまとめてみたら?」
甲子園大学の大学院に入学するきっかけは、栄養学部の八木先生のこんな言葉でした。「野球食」の検証にもなると思い、入学を決意したのです。論文のための検証内容は、高校球児300人を2グループに分け、150人には食事指導を行い、150人には行わないで、その差を調べるもの。結果は予想以上。食事はもちろん、体格にも差が確認されました。
論文にまとまるに際しては八木先生に「これは報告書? 論文になっていない」とバッサリ。一般書ではない「論文を書く」ということを全く知らなかったのです。何度も書き直しては先生にチェックしてもらい、なんとか論文として仕上げることができました。
八木先生をはじめ、大学院で教えていただいたことは他にも沢山あります。社会に出たあとに改めて栄養学を学ぶ意義を実感したり、栄養学の重要性を再認識したり。栄養学は変化が激しく、再び学んだことで新たな発見と振り返りがありました。先生方には本当に感謝しています。
甲子園大学の先生や学生の皆さんの支えがなかったら、仕事と大学院を両立できませんでした。同級生の皆さんは、学生らしからぬ私に戸惑ったと思いますが、家族のように色々と気にかけていただきました。仲間とみんなで風船を持って甲子園球場に阪神の試合を観戦に行ったこと等も含め、とても充実した学生生活でしたね。

これからの目標

私は今、日本のオリンピック強化選手を中心に、栄養面や体力面についてのサポートを行っています。今後は、今の経験を生かし、現役引退後のアスリートのサポートもできたらと考えています。スポーツの楽しさを知っている人は、引退後でもスポーツを楽しんで人生を送りたいと考えると思うんです。そこでもおいしさを共感しながら、サポートできたら、その人の人生をより豊かにするお手伝いになるかなと。これからの楽しみですね。

海老久美子さんアップ